My Life
マイファミリー 我が家 オーガニックガーデン クラフト ファーンベール

Craft

ファーンベールに住むようになったその年、娘の一歳の誕生日に子羊を買いました。
一年して丸々と毛に覆われた姿を見て、自分たちで毛を刈りました。袋いっぱいになった羊毛の使い道を考えて、スピニング(糸紡ぎ)を始めました。スピニングを始めたと同時に、アルパカを飼い始め、次はアンゴラヤギ、ロングコートの犬と長毛の動物を集め、彼らの毛を刈っては糸にする作業を続けています。糸にしたものがどんどんと貯まって、それを形にしなければと編み物を始めました。学生時代以来の編み物で、さらに海外の編み物の本を解読するのに何度も行き詰まりながら、少しずつ作品が増えています。自分の子どもたちの毛を使って作ったセーターやマフラーは、どんなものでも愛おしく感じられます。

Crochet Cape Dyed Pink&Gray Mohair
(2006 Lowood Show First/Rosewood Show First&Champion)
ケープ
2004年に紡いだモヘヤを使って編んだ作品です。編みなれてきたので、硬かったり緩すぎもせず、ちょうどいい感じに仕上がりました。グラデーションがいい具合に出ていて同じ糸を使った作品とは違った風合いに仕上がりました。ボリューム感があって、あったかです。


Knitted Black Alpaca&Varigated Wool Cardigan
(2006 Marburg Show First/Laidley First&Champion)
カーディガン
不慮の事故で死んでしまったデュークに捧げる思い出の作品で、始めて編んだ大物です。アルパカのフリースを紡ぎ出して2年経って、ようやくほわほわ感が出せる糸が紡げるようになりました。
緑とオレンジを基調に、何色もの色を混ぜて染めてある羊毛を少しずつちぎって、アルパカのフリースに所々混ぜで紡ぎました。アルパカの毛に光沢感があって、混ぜた色がアクセントになっています。
Crotched Shawl White Wool
(2004 Marburg show first-biginer's section)
ショール
スピニングを始めて最初の作品。家で飼っている羊のモンティの毛を紡ぎました。Borderlester種の羊は、一般では食肉用で毛は絨毯に使われているため、少し荒い感じの毛です。でも食料がいいのか、モンティの毛は他の同じ種の羊より質がいいと、驚かれます。最初の作品なので、毛糸らしい質感が出なかったり、時には2本の糸がよれていない部分もあるのですが、その辺りがいいキャラクターになっているようです。


Pink&Grey Mohair Crochet Vest
(2005 Rosewood show First)
ベスト
白いモヘヤを紡ぐ前に、染色剤を使ってピンク色に染めました。紡ぐ前に染めるとまだらに染まるので、微妙なグラデーションの糸に仕上がります。その後、染めたピンクのものと自然のグレーの糸を合わせて紡ぎました。
縁取りはグレーのモヘヤです。
Crochet Black Alpaca&Grey Mohair Scarf&Beanie
(2005)
スカーフと帽子
始めてモヘヤとアルパカを紡いだ時の作品です。羊毛と違って、モヘヤもアルパカも滑りやすくなかなかうまく紡げません。最初は太くて硬い糸になってしまいました。


Knitted Black Alpaca Scarf
(2006 Rosewood&Laidley Show First)
スカーフ
最初に飼ったアルパカ・デュークのフリースを紡ぎました。3歳の時のフリースなので、まだふわふわです。アルパカのフリースは羊毛やモヘヤに比べると軽く、スカーフやショールなどに向いているように思います。
スピニング
pic1
最初は紡ぎやすい羊毛から始めました。次にモヘヤ、アルパカ、そして別のファイバーとの混合など、やればやるほど奥が深くなってきます。
どの動物も一年に一回毛刈りをするので、毎年袋いっぱいの毛がたまります。紡いでも紡いでもどんどん新しい毛がやってくるので、追いつきません。
毛をブラシする作業は屋外で、スピニングウイールをバルコニーに持ち出して紡ぐこともあります。ナチュラルな素材を使ったハンドメイドの糸は、一つ一つにキャラクターがあって、編み上げた時に独特の風合いが出るような気がします。
pic2
スピニングウイール(糸車)も始めは1台だったものが、今ではいろいろな形のもので4種類も集めてしまいました。それでも毎週売りますの広告を新聞で見つけると、買いたい病がうずうずしてしまいます。
シアリング
pic1
羊とアルパカは一年に一回、アンゴラヤギは一年に2回シアリングをします。
それぞれの動物によっても差はあるのですが、一年で7〜10センチ位は伸びます。一番上質な部分はサドルと言って、首の付け根から尻尾の手前までのお腹の上半分になります。アルパカの場合はこの部分が一番長く伸び、首も7センチくらいまで伸びていれば紡ぐことができます。
アルパカをシアリングする時には特別の台を使い、両手両足をストレッチさせた状態で毛を刈ります。首が長く強い上、キック力があるので、男性2人がかりで捕まえて台に縛りつけなくてはなりません。
pic2
その点羊もヤギもシアラーの股の間に挟まれ、仰向けにされればほとんど観念したようなもので、あっという間に作業は終わります。刈られていく毛の選別は、スピニングをする人がその場ですばやくやっていきます。
メリノウール
メリノウール原毛
原毛
スペイン原産の羊で、毛の質が良く、衣類に使われる。オーストラリアには食用兼毛皮を使用するため、1796年に持ち込まれた。自然資源が発見される前までは、世界最大の羊毛産業国として、オーストラリアの産業を担っていた。
メリノー種は、オーストラリアでは気候が比較的涼しい南の方で多く飼育されている。これはマーガレットリバーへ旅をした時に、シープファームで一頭分購入したもの。クリンプと呼ばれる、毛のちじれ具合や毛一本一本の細さによって、級付けされる。
メリノウール毛糸
紡いだもの
羊毛はラノリンと呼ばれる油とクリンプ(ちじれ)によって、毛と毛がくっつきやすく紡ぎやすい。
スピニングの初心者は必ず羊毛で練習し、別のフリースへと移行していく。動物から刈り取られた状態から、ひとつかみ分ずつブラシをして、毛の汚れを落とし、ほぐして空気を通す。その作業を念入りにすることによって、紡ぎ易さが違ってくる。紡いだ後は、お湯で漬け洗いをすると見違えるほど真っ白な毛糸ができあがる。弾力があって、ふわふわで、さらに真っ白で、仕上がりが一番楽しみなのがメリノーだと思う。
アルパカ
アルパカ毛糸
原産はペルーで、歴史はインカ帝国まで遡る。オーストラリアへは1989年に輸入され、原産国を除いて世界一のアルパカ生育国になっている。
アルパカのフリースは柔らかく、保温力に優れている上に、軽いことが特徴だ。毛色がバラエティに富んでいて、自然の色合いだけで十分楽しめる。アルパカのフリースも質感はシルクに近く、するすると滑らかに紡げる。
右の糸は、家で飼っているカリメロのダークブラウンとクレープと呼ばれる糸を紡ぎ合わせたもの。レースのショールを編むのに使おうと思っている。

モヘヤ
モヘヤ原毛
トルコ原産のアンゴラヤギの毛をさす。ヤギはどんな草でも食べ、さらに岩場や急斜面にも強いため、荒れた土地や他の家畜たちが棲めないような場所でも飼うことができる。
アンゴラヤギはくるくるとカールした、ドレットスタイルの毛が全身を覆っていて、見た目が可愛らしい。紡ぐときには、このくるくるの束を一束ずつブラシして使う。ブラシをしても巻きが強すぎるものは、編んだときに形が整いにくくなるのではずすことが多い。毛の色は白とグレーがあって、白は染料が入りやすいので使いでが多い。
モヘヤはすべすべしているので、初心者には紡ぐのが難しい。慣れてくると柔らかくかつ細い糸が紡げるようになる。
カシミヤ
カシミヤ毛糸
インドのカシミールおよびチベット原産のヤギ。柔らかく保湿性が良く、最高級の織物として19世紀のヨーロッパで大流行した。
友人が飼っているカシミアのフリースを使って、単独で紡いでみた。カシミアは紡ぐ以前の作業がことさら大変。
カシミアは、全身にガードヘヤーと呼ばれる剛毛が生えている。このガードヘヤーが、身に着けた時にちくちくした不快感をもたらす原因になる。そのためガードヘヤーを全部取り除かなければならない。
一般的に、背中と胴体の上半部分が比較的ガードヘヤーが少なく、フリースの質も一番よい。
ブラシをする前に、大まかにガードヘヤーを一本一本取り除いていく。その後ブラシをして、さらにピンセットを使って残りのガードヘヤーをほぼ全部取り除く。はっきり言って気の遠くなるような地道な作業だ。
もっと残しておきたいと思う部位があっても、ガードヘヤーの本数と残るフリースの本数を比べると、割が合わないことの方が多く断念する。
カシミアは絹のような光沢と質感を持っていて、すべるように紡げる。一本一本のファイバーが細いため、極細の糸に仕上がる、他の毛糸に比べると極端に軽い。一頭からほんのわずか出来ないので、貴重品だ。
カシミヤ原毛と毛糸



inserted by FC2 system